小5の時、友人らがやけにニヤニヤしながら、よくわからない単語を発してはしゃいでいた。私にはその面白さが一切わからなかった。面白さはよくわからないが、余りにも連呼するので、その単語の響きだけは脳裏に焼きついた。
それは、「せっくす」というものらしかった。
あの時は何故母親と2人っきりだったのだろう。妹は、習い事か、友達の家にでも遊びに行っていたのだろうか。ふと、その単語を思い出した私は、辞書を引くくらいの気持ちで、母親に尋ねた。
「せっくす」とは何かを。
今の時代、息子にこの直球を投げられた母親は、どんなボールを返すのだろう。そもそも息子もググって自己解決だろうか。
「お父さんに聞きなさい」
母親は返球を放棄した。
単語の意味はわからないが、生まれて初めて、母にしてはいけない質問をしたことだけは悟った。

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