太平洋高気圧が手を抜き始めたか、台風を日本に招く様になった。残暑は続くが、私は小さい秋を感じ始めている。
食欲の秋。スポーツの秋。芸術の秋。
何故芸術の秋か。それは、秋が我々をアンビバレントな感情にさせるからだ。
夏が終わっちゃうな。寒くなるの嫌だな。でも、秋の味覚は好きだな。お気に入りのコートやマフラーを身に付けるの楽しみだな。そんな、相反する(アンビバレントな)感情が、創造性を生むらしい。
私は、10歳から高校三年まで絵画教室に通った。高校生の時先生に言われた、「恋愛した方が良い絵描けるよ」を思い出す。そんなにモテないオーラを放っていたか。
成る程。恋愛、特に片思いをしている時(又は、両想いに確信が持てない時)、アンビバレントな感情になる。相手の言動の裏を読み、一喜一憂、希望と絶望の狭間を右往左往する訳だ。
小六の時登下校を共にした友人は、マーガレットの花占いを毎度の様に行った。「…好き、嫌い、好き、嫌い。」占い結果に納得が行かないと、彼はもう一本引っこ抜いた。今思えば、雑草な訳は無く、その家の大事なガーデニングの一部だったに違いない。
彼女と進学を同時に絶たれて項垂れていた頃、ある人は、「アーティストとしては、そういう時の方が良い作品作れるよ」と私にアドバイスした。当時は何の救いにもならなかったが、一つの真理だ。
某世界的芸術家も、病んだ精神で良作を生むアーティストを、生かさず殺さず、絶妙なメンタルケアを行うのがキュレーターの仕事だと言っていた。
考えてみると、世の中アンビバレンスに溢れているではないか。長所は短所に、短所は長所に。無邪気で可愛い所が好きだったが、今はそこが嫌い。
白黒つけるな。全ての物事は、飽く迄グレーのグラデーションでしかない。
グレーでもない、ベージュでもない。今年の秋はそれくらいの色の小物を身に付けるのが良いかもしれない。

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