下山の初心者

叔母と偶に「デート」をする。

何のタイミングだったか忘れたが、「まだ若いんだから」と言われ、少しカチンと来た。自分もいい大人だと思っているからか、何なのかわからないのだが、咄嗟に…

「今日はこれからの人生で一番若いかも知れないけど、今までの人生では一番年老いてるんだよ」

…と、よくわからない、名言の逆みたいなことを言って反論した。

流石に、体力的なピークは超えて、ゆっくりと下り坂を下っていくのがわかる。若いと言われてもピンと来ない。

ある後輩に誕生日のメッセージを送り、そのラリーで、「こんな歳になっちゃったね」とか、先述の、下り坂の例えをしたら(今思えばお祝いのメッセージのついでに俺は何てこと言っているんだと思う次第)、「私は次の山に縦走するイメージです」と返ってきた。成る程、そういうイメージもあるのか。

素敵だなと思いつつ、私は飽くまで山を下るスタイル。

仏教用語の四苦八苦の四苦は、生、老、病、死の苦しみ(八苦はご自身でお調べください)。平和ボケした日本に生まれた者が言うのも痴がましいが、何千年前のインド人も私と同じことを思ったのだろうか。

老いも死も怖くはないが、これから全て下っていく感覚があるのに、100歳まで生きるのかと思うとダルい。

そう思って、「老いの流儀 小津安二郎の言葉」を買った。まだ、一頁も読んでいない。多分、どこかでまだ一ミリくらい「自分はまだ若い」と思って、明日また読めると積読している。手元には無いが、赤瀬川源平の「老人力」も読みたい。

明日も、時間的には今日も、じじーの顔を洗って、青年とまではいかなくとも、壮年ぐらいに整えて、色んなものを隠す様にスーツを着て会社に行く。

多分、叔母に彼女の死生観を尋ねることはない。大丸でランチしながら、スマホの使い方を教えるくらいの具体的な話でないと、息が詰まって死ぬ。

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